2 Brugada 症候群
 10~ 30%にSCN5Aの遺伝子異常が認められ155),200),遺伝子変異部位は,SCN5A遺伝子の全体にみられている.ナトリウム電流の低下は,チャネルの発現障害,不活性化の促進,あるいは異常な不活性化,steady state inactivation curve の負へのシフト,チャネルのintermediate inactivated state への偏り傾向(recovery kineticsの低下)などによる201)

 本症では遺伝子異常の見出せない例の方が多い.無症候例(silent carriers)が存在する155).SCN5A変異群(23人)と変異の見つかっていない群(54人)の比較では,臨床所見(失神歴,心室細動歴,家族歴など)に差はみられていない158).乳児突然死症候群の一部にもSCN5Aの遺伝子異常がみられ202)-204),L567Qの変異家系では突然死などの重症例が多いとされている. 最近,SCN5A以外の遺伝子異常との関連も指摘され,5つの異なる遺伝子の変異が報告されているが,その頻度は非常に低い205).なお,先天性LQTSの遺伝子診断は2008年4 月1日から保険診療が承認されている.
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心臓突然死の予知と予防法のガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Risks and Prevention of Sudden Cardiac Death(JCS 2010)