2 原疾患
心筋梗塞後例では心機能低下は予後不良の独立した予知因子となる276).心筋梗塞後の7,294例でみると,2年間の致死的不整脈の発生率は左室駆出率の非低下群の4.7%に比べ低下群で20%と高い278).我が国でも心機能低下例で突然死が多いことが認められている.また,進行性の心不全や原因不明の失神を伴うと心臓突然死が多くなる264).左室容積278),左室瘤275),BNPやeGFRとの関連も指摘されている279).
MADIT Ⅱでは心筋梗塞後の心機能低下例(左室駆出率< 30%)1,232人を対象とし,平均20か月の観察で死亡率はICD群14.2%,アミオダロン群19.8%と,突然死の一次予防にICDの有用性が証明された280).
拡張型心筋症で心機能低下と非持続性心室頻拍または頻発する心室期外収縮(>10個/時間)の合併例で,ICDが不整脈死の一次予防に有効であったことから281),突然死には不整脈が関与することを示している.原疾患の52%が虚血性で,残り48%を非虚血性心疾患とする心不全例(NYHA Ⅱ~Ⅲ度の例で左室駆出率≦35%)の予後を,プラセボ,アミオダロンおよびICDの3 群で比較したSCD-HEFT研究でも,45.5か月(中央値)の観察でICD群は他の2群より突然死を含めた予後を改善した282).プラセボ群とアミオダロン群では死亡率に差は見出されなかった.
心臓突然死の予知と予防法のガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Risks and Prevention of Sudden Cardiac Death(JCS 2010)