治療目的/所見クラスⅠ クラスⅡa クラスⅡb
二次予防
◦心停止(VF) ICD アミオダロン*またはソタロール*
◦SVT で頻拍中に失神を来たす,またはLVEF <40%で血圧が低下する(<80mmHg)
ICD アミオダロン*またはソタロール*
◦基礎心疾患があり血行動態が安定しているSVTで,有効薬剤がないか使えない
ICD アミオダロン*またはソタロール*
◦基礎心疾患があり,カテーテルアブレーション後に誘発されなくなったSVT
ICD
アミオダロン*またはソタロール*
◦基礎心疾患に伴うSVT で,LVEF ≧40%で有効薬剤がある
ICD+有効薬剤
2 持続性心室頻拍(SVT)
 我が国の持続性心室頻拍の原疾患に占める陳旧性心筋梗塞は約30%と少なく,非虚血性心疾患が多数を占める11),140),237).診断は頻拍時の心電図で
可能であるが,電気生理検査で高率に持続性心室頻拍が誘発される.持続性心室頻拍は抗不整脈薬の催不整脈薬作用として発症することもあるので,
原因として除外することは重要である.抗不整脈薬治療では,電気生理検査で誘発阻止作用を示す抗不整脈薬を選択するか139),238),239),心室期外収縮
や非持続性心室頻拍(NSVT)の抑制を指標として薬剤を選択する179).カテーテルアブレーションで持続性心室頻拍は時に治癒する.レートが速く血行動態
の悪化する持続性心室頻拍では再発予防を行うが,そのためにICDの適応をまず考慮する11),230).血行動態の安定した持続性心室頻拍でも,器質的心疾
患を伴う例ではしばしば頻拍レートの増悪を来たし,波形の異なる新たな心室頻拍も出現することから,予後は必ずしも良好でなく,ICDが勧められる240)
カテーテルアブレーションの成功例でも,長期予後にはまだ不明点があり,また再発も時に認められることから,ICDがしばしば適応となる(表2)

 基礎心疾患を有する症例の持続性心室頻拍の停止には,プロカインアミドまたは代替としてリドカインが静注で用いられる241),242).前者の停止率は高い
243),244),リドカインは心抑制が少なく虚血心筋により特異的に作用することから,心筋梗塞の急性期に用いられる.再発を繰り返す場合や不安定な心室
頻拍では,アミオダロン(静注)が用いられる.難治例では,我が国ではニフェカラント(静注)を用いることもできる242).なお,QT延長に伴うtorsade de
pointes にはマグネシウム(静注)が有効である242).心室頻拍を繰り返しICDの頻回作動状態となるElectrical stormでも,これらの薬剤が用いられる.
Electrical stormの場合には交感神経緊張を抑制する治療(β遮断薬,鎮静・麻酔薬など)も重要である245),246).Electrical stormからの離脱にカテーテル
アブレーションが有効な症例もある247).ICD症例の心室頻拍の再発予防には,ソタロール248),249),アミオダロンとβ遮断薬の併用が有効である250)
表2 持続性心室頻拍(SVT),心室細動(VF)における突然死予防
VF:心室細動,SVT:持続性心室頻拍,ICD:植込み型除細動器,LVEF:左室駆出率,
*ICDが使用できない例またはICD治療例でVTおよびVF発作のコントロールを目的に使用
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心臓突然死の予知と予防法のガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Risks and Prevention of Sudden Cardiac Death(JCS 2010)