2 心筋梗塞急性期の心室頻拍
心筋梗塞急性期の心室頻拍の出現頻度は10~ 40%とされ,多形性心室頻拍や非持続性心室頻拍は長期予後には影響しない.しかし発症後1~ 4 週に非持続性心室頻拍が合併する例では,突然死の危険は非合併例の2.4倍で,左室機能低下例でより高くなる.心筋梗塞発症後48時間以内に約2%に持続性単形性心室頻拍が出現し,院内死亡リスクも高くなる304),307).持続性心室頻拍の合併は,高齢,収縮期血圧,心筋梗塞の既往,Killip分類の重度,前壁梗塞,左室駆出率低下を伴う例に多い.心筋梗塞発症後3~ 90日の間に合併する持続性心室頻拍は(n= 87),低心機能例に多く発生し(平均駆出率 29± 12%),平均26か月間の観察期間中に41%の死亡が認められている307).
治療は,監視と血行動態の悪化例では電気的除細動で対処する.再発予防にはβ遮断薬,アミオダロン,Ⅰb群薬が試みられる.発症予防には心室細動と同様に早期のβ遮断薬投与が有効である305),306).
心臓突然死の予知と予防法のガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Risks and Prevention of Sudden Cardiac Death(JCS 2010)