5 心臓再同期療法(Cardiac Resynchronization Therapy:CRT)
 心不全においては心室間あるいは心室内同期不全が生じている290).CRTは右心室と左心室の両方からペーシングすることにより,左室の同期不全を改善させようとする治療法である.NYHA Ⅲ~Ⅳ度でQRS幅が延長している例において,運動耐容能,QOL,入院回数,死亡率の改善が示されており290)-292),心不全治療で重要な位置づけがなされている.しかし,30%前後にCRT無効例があることより,CRTが有効となる症例の基準,選択が重要な課題である.CRTの適応となる症例では心機能低下が著しいことから心臓突然死のリスクも高く,除細動機能をバックアップとして併せ持つCRT-Dが主流となりつつある293).現時点では,CRT-Dの適応はICDの適応に準じる.
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心臓突然死の予知と予防法のガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Risks and Prevention of Sudden Cardiac Death(JCS 2010)