表1は,突然死の一般的な危険因子である.いわゆる生活習慣(病)に関連して,喫煙,高血圧,糖尿病は冠動脈疾患を促進し増悪させるだけでなく,
突然死も増加させる12)-15).その他,心電図での左室肥大や14),激しい運動も突然死の誘因になる16).逆に多価不飽和脂肪酸の摂取による突然死の
減少効果も指摘されている17).これらの危険因子は広い意味での突然死の予知因子となるが,これらの因子を有する例すべてに突然死に対して有効な
予防処置を講じることはできない.
本ガイドラインでは突然死を主に不整脈死としてとらえ,その予知に関連して,以下の項目を取り扱った.
1.突然死の予知に用いられる検査法とその現状
2.突然死が発生しやすい病態または疾患
3.蘇生例など致死的不整脈を示唆する臨床症状
1については,突然死の予知に用いられて来た検査法とその現状を述べた.不整脈死の高危険群といえる病態や疾患の診断,および不整脈死の危険の
階層化(risk stratification)に有用な検査が報告されている.しかし,それらの検査所見に基づいて介入試験が行われ,その上で有用と証明されたものは
限られており,今後の進展が期待されている.
2,3については,各病態や疾患別に付随する臨床および検査所見から危険の階層化を行い,突然死回避のための予防処置の適応を述べた.