治療クラスⅠ クラスⅡ クラスⅢ
抗血小板薬* 重症度Ⅳ,Ⅴ 重症度Ⅲ 重症度Ⅰ,Ⅱ
抗凝固薬*2 重症度Ⅳ,Ⅴ 重症度Ⅲ 重症度Ⅰ,Ⅱ
冠拡張薬*3 重症度Ⅴ 重症度Ⅳ 重症度Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ
抗心不全薬*4 重症度Ⅴ 重症度Ⅳ 重症度Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ
冠動脈インターベンション*5 重症度Ⅴ(b) 重症度Ⅴ(a) 重症度Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ
冠動脈バイパス手術重症度Ⅴ(b) 重症度Ⅴ(a) 重症度Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ
重症度所見(心エコー検査ならびに選択的冠動脈造影検査)
Ⅰ 拡大性変化がなかった群急性期を含め,冠動脈の拡大性変化を認めない症例
Ⅱ 急性期の一過性拡大群第30病日までに正常化する軽度の一過性拡大を認めた症例
Ⅲ Regression群第30病日においても拡大以上の瘤形成を残した症例で,発症後1年までに両側冠動脈所見が完全
に正常化し,かつⅤ群に該当しない症例
Ⅳ 冠動脈瘤の残存群冠動脈造影検査で1年以上片側もしくは両側の冠動脈瘤を認めるが,かつⅤ群に該当しない症例
Ⅴ 冠動脈狭窄性病変群冠動脈造影で冠動脈に狭窄性病変を認める症例で,
(a)虚血所見のない群:諸検査において虚血所見を認めない症例
(b)虚血所見を有する群:諸検査において明らかな虚血所見を有する症例
6 川崎病
 川崎病は急性の血管炎症候群の1つと考えられているが,原因不明であり,急性期以降に残存する冠動脈瘤が問題となる.心血管事故,特に不整脈死の実態はまだ不明である.川崎病の急性期,慢性期の治療・管理基準については,日本川崎病研究会586),日本循環器学会587),アメリカ小児科学会588)などから,詳細な管理基準が発表されている.2008年に日本循環器学会で発表された管理基準では,川崎病の心臓血管病変重症度分類と川崎病の冠動脈病変重症度分類に対する治療の適応は表23,24のとおりである.

 運動指導に関しては,重症度Ⅰ~Ⅲでは運動制限の必要はない.重症度Ⅳで巨大瘤がある場合,管理区分表の「D」区分,巨大瘤でも1年後も変化がない場合「E」区分,狭窄性病変があっても虚血所見のない群(Ⅴa)では「E」区分,虚血所見のある群(Ⅴb)では「A」~「D」区分のうち適切な区分を判断する.
表23 川崎病の心臓血管病変重症度分類
注)参考条項:中等度以上の弁膜障害,心不全,重症不整脈などを有する症例については,各重症度分類に付記する.
表24 川崎病の冠動脈病変重症度分類に対する治療の適応
* アスピリン,ジピリダモール,チクロピジン
*2 ワーファリン,ヘパリン
*3 Ca拮抗薬,硝酸薬など
*4 ACE阻害薬,アンジオテンシン受容体拮抗薬,β遮断薬
*5 冠動脈内血栓溶解療法(ウロキナーゼ,tissue plasminogen activator),バルーン冠動脈形成術,ステント留置術,ロータブレ
   ーターによる冠動脈形成術
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心臓突然死の予知と予防法のガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Risks and Prevention of Sudden Cardiac Death(JCS 2010)