1 突然死の実態
我が国では小児期の心臓突然死の死因の上位を心筋症,先天性心疾患,不整脈が占めている516),517).学校管理下で認められた突然死のうち,不整脈が認められた死亡例58例の内訳は,QT延長症候群(13例),心室期外収縮(8 例), 心室細動(7 例),WPW症候群(6例),洞機能不全(7 例),房室ブロック(4 例),心室頻拍(3例),固有心室調律(1例),心房細動(1例),その他(8例)であった.
イタリアの35歳以下の若年者の心臓性突然死例のうち剖検で正常と判断されたのは16例(6%)で,死因で最も多かったのは冠動脈狭窄,次が心筋症であった518).心筋症では催不整脈性右室心筋症(ARVC)が最も多く,また心筋炎もかなりの割合で認められた.Maronらは35歳以下の運動選手の心臓性突然死例の剖検所見から,肥大型心筋症と冠動脈奇形が多いことを報告している185).Droryらによると162例の40歳以下の突然死剖検例のうち,20歳以下の症例は32例あり,それらの死因は心筋炎と肥大型心筋症が22%と最も多かった519).これらの報告を踏まえ,以下に主要な病態または疾患について述べる.
心臓突然死の予知と予防法のガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Risks and Prevention of Sudden Cardiac Death(JCS 2010)